市立大洲病院改革プラン
平成21年3月
大 洲 市
市立大洲病院
目 次
1 プラン策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2 計画の期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3 市立大洲病院の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(1)病院の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…3
(2)業務量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(3)経営の状況・財務上の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
4 市立大洲病院の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(1)基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(2)果たすべき役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(3)医療機能にかかる数値目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(4)役割を果たすために必要な取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
5 経営の効率化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(1)これまでの取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(2)経営課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(3)経営効率化にかかる計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(4)経営効率化にかかる数値目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(5)一般会計負担の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
6 経営形態の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
7 再編ネットワーク化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
8 改革プランの点検評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
9 資料
年度別収支計画
補償金免除繰上償還にかかる公営企業経営健全化計画
1 プラン策定の趣旨
近年全国的に多くの公立病院において経営状況が悪化し、医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされるなど経営環境や医療提供体制の維持が極めて厳しくなってきています。このことから、総務省は、平成19年12月24日「公立病院改革ガイドライン」を策定し、公立病院が今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくため、平成20年度中にすべての公立病院において「公立病院改革プラン」を策定するよう通知しています。
この「公立病院改革ガイドライン」では「経営の効率化」、「再編・ネットワーク化」、「経営形態の見直し」の3つの視点により改革の一体的推進を通じて、地域医療確保のために自らに期待された役割を明確にし、安定的かつ自立的な経営の下で良質な医療を継続して提供できる体制を構築することを求めいています。
本改革プランは、この「公立病院改革ガイドライン」を踏まえ、市立大洲病院がその役割や機能を十分に果たし、地域医療の安定的かつ継続的な提供を行うために、収支目標の設定や具体的方策を定め、経営基盤の強化、経営の安定を継続していくことを目的に策定しました。
2 計画の期間
計画期間は、平成20年度から平成24年度までの5ヵ年とします。
なお、本計画は、今後の医療環境等の変化によって大きく影響を受けることから、必要に応じて適切な見直しを行っていきます。
3 市立大洲病院の概況
(1)病院の概要
@沿 革
昭和22年2月 |
大洲町国民健康保険病院として開設 |
昭和24年4月 |
社会保険大洲病院となる(旧厚生省の所管となる) |
昭和35年12月 |
大洲市国民健康保険病院となる(旧厚生省より移管)病床数変更 一般病床 130床 結核病床 30床 計160床 |
昭和39年4月 |
旧病院移転改築(総工費238,000千円) 名称 市立大洲病院となる(大洲市大洲810−1) |
昭和42年4月 |
病床数変更 一般病床 130床 結核病床 40床 計170床 |
昭和51年4月 |
病床数変更 一般病床 145床 結核病床 40床 計185床 |
昭和60年4月 |
病床数変更 一般病床 145床 結核病床 26床 計171床 |
平成4年1月 |
愛媛大学医学部関連病院となる(全員愛媛大学医学部の医師となる) |
平成5年7月 |
移転改築工事に着手 |
平成6年12月 |
新病院竣工(総工費6,035,000千円) |
平成7年3月 |
新病院での診療開始に伴い開設許可廃止(3/31) |
平成7年4月 |
開設許可(4/1) 新病院で診療開始 大洲市西大洲甲570番地 |
平成7年6月 |
小児科再開 診療科10科となる |
平成7年6月 |
総合病院標榜許可(愛媛県指令大保予第399号) |
平成8年6月 |
新看護変更 一般病床 新看護2.5対1看護(A)加算 結核病床 新看護3対1看護(A)加算 |
平成11年8月 |
新看護変更 一般病床 新看護2対1看護(A)加算 結核病床 新看護3対1看護(A)加算 |
平成12年4月 |
入院基本料 一般病棟入院基本料(T)看護2対1(A)加算 結核病棟入院基本料(V)看護3対1看護(A)加算 |
平成14年5月 |
平成14年度自治体立優良病院 全国自治体病院開設者協議会並びに全国自治体病院協議会の両会長表彰受賞 |
平成15年10月 |
重症者等療養環境特別加算 |
平成16年1月 |
全館禁煙の実施(喫煙コーナーを玄関西側に設置) |
平成16年4月 |
地域医療連携室設置 |
平成16年5月 |
平成16年度自治体立優良病院 総務大臣表彰受賞 |
平成16年6月 |
訪問看護室設置 褥瘡患者管理加算 |
平成16年7月 |
病院機能評価<V4.0>受審 〔 (財)日本医療機能評価機構 〕 |
平成16年10月 |
管理型臨床研修病院指定 |
平成17年1月 |
市町村合併に伴う開設許可の廃止(1/10)及び開設(1/11) |
平成17年4月 |
診療録管理室設置(診療情報管理士配置) |
平成17年6月 |
夜間勤務等看護加算 |
平成17年7月 |
麻酔管理料加算 |
平成17年10月 |
診療録管理体制加算 |
平成18年4月 |
入院基本料(10:1)、救急医療管理加算、栄養管理実施加算 |
平成18年10月 |
日本医療機能評価認定<Ver.4.0>〔(財)日本医療機能評価機構〕 |
平成19年6月 |
無菌製剤処理の施設基準 |
平成19年9月 |
産婦人科及び小児科を休止 |
平成19年10月 |
外来化学療法加算 |
平成20年1月 |
入院基本料 一般病棟7:1 、結核病棟7:1 |
平成20年4月 |
電子化加算 |
平成21年1月 |
糖尿病合併症管理料の施設基準 |
A診療科目 10診療科
内科、外科、整形外科、泌尿器科、眼科、皮膚科、耳鼻咽喉科、
リハビリテーション科、産婦人科(休止)、小児科(休止)
B正規職員数 168人(平成21年3月末現在)
○医師 14名 (11名) ※( )は、非常勤医師の別掲数
内科 5名(2名) 外科 2名 整形外科 2名 泌尿器科3名
眼科 1名(1名) 皮膚科(3名) 耳鼻咽喉科(3名)
麻酔科 1名 放射線科 (2名)
○看護師 111名
○医療技術員 28名
(内訳) 薬剤師 8名 臨床検査技師 6名 診療放射線技師 4名
理学療法士 4名 臨床工学士 4名 管理栄養士 2名
○事務員 9名
○労務員 6名
○臨時・嘱託職員数 56人
C病床数 一般病床 154床 結核病床 26床(稼動病床8床)
D指定病院
保険医療機関・救急告示病院
第二種感染症指定医療機関・被爆者指定医療機関・被爆者一般疾病指定医療機関・母子保健法療育医療指定医療機関・生活保護法指定医療機関
更正医療指定医療機関・労災保険指定医療機関
E特殊診察 人間ドック・人工透析(27床)・リハビリテーション室
(2)業務量
平成19年度における外来患者数は対前年度△15,412人(△11.3%)の121,412人(1日あたり495.6人)、入院患者数は対前年度△2,672人(△6.4%)の39,068人(1日あたり106.7人)となり、医師数の減少、産婦人科及び小児科の休止に伴い、外来・入院患者数ともに大幅に減少しています。
平成20年度も、4月から眼科医が非常勤医師(育児休業に伴う)となり、6月に内科医1名退職後の補充がなく、常勤医師14名体制となり、入院外来ともに患者数が減少しています。
※ 1日あたり入院患者数=年延入院患者数÷入院診療日数
※ 1日あたり外来患者数=年延外来患者数÷外来診療日数
※ 病床利用率=入院延患者数÷年間稼動病床数×100
(3)経営の状況及び財務上の特徴
平成7年4月に現病院へ移転し、入院(一般154床、結核26床)180床、外来10診療科で運営しています。平成7年度旧病院解体のため純損失を計上して以降、平成8年度〜平成19年度まで12年間黒字経営を継続しています。一般会計からの繰入金も基準外のものはなく、そのほとんどが病院建設時の建設改良に伴う元利償還金に基づくものです。
近年の医療費抑制策にともなう診療報酬の引き下げ及び全国的な医師不足により、過去2年にわたり総収支100%と厳しくなっています。また、当院でも医師不足が深刻化しており、平成19年9月には、産婦人科及び小児科を休止し、平成20年度においても内科医が退職し、常勤医師14名と病院経営は一層厳しくなってきていますが、これまでに地域医療連携室、訪問看護室、診療録管理室、医療安全対策室、外来化学療法室など設置、さらに入院基本料7:1施設基準取得するなど、診療報酬改定に対応し、収入の確保を図ってきています。また、人件費が医業収益に占める人件費割合も42.9%(平成19年度)と低く抑えているところです。
<現在までの経営努力により受賞した表彰等>
平成14年5月 平成14年度自治体立優良病院、全国自治体病院開設者協議会・全国自治体病院協議会両会長表彰受賞
平成16年5月 平成16年度自治体立優良病院 総務大臣表彰受賞
4 市立大洲病院の役割
(1)基本方針
〔理念〕 患者様に信頼される良質で安全な医療を提供し、地域社会に貢献します。 〔基本方針〕 1.患者様やその家族の心を理解し、温かみのある医療を実践します。 2.関係機関との連携を密にし、地域医療の充実に努めます。 3.職員一人一人が主体的に専門能力の研鑚に努め、質の高いチーム医療を提供します。 4.効率的で安定した経営基盤の確立に努め、健全な病院経営を目指します。 5.働きがいのある職場環境づくりに努めます。 ※自治体病院の倫理要領(H14年全自病協制定)に基づき策定 |
上記理念・方針を全職員に浸透させながら、市内の各病院をはじめ、2次医療圏における病病連携・病診連携をすすめ、それぞれの病院が専門的な機能を分担することで、地域医療の確保・充実が担えるよう努めているところです。
また、これまで経営対策として進めてきた地域医療連携室、訪問看護室、診療録管理室の設置及び施設基準における看護基準7:1等の取得などが現在の健全経営に繋がっているものと考えており、今後、更にコスト管理の徹底等経費削減に努めるとともに引き続き基準外繰入の必要のない経営を行っていくものとします。
(2)果たすべき役割
地域において必要な良質で安全な医療を確保していくためには、市内の各病院をはじめ、2次医療圏における病病連携・病診連携をすすめていき、それぞれの病院が専門的な機能を分担することが必要であることから、市立大洲病院として次の点を中心に役割を果たし、地域医療の確保充実に努めていきます。
・救急病院輪番制における医療機関の1つとして救急医療を提供します。
・急性期医療を中心にこれまで担ってきた消化器・内分泌・代謝(糖尿病)分野の診療、透析治療、結核の入院医療、外科・整形外科・泌尿器科・眼科に係る手術等、高度な医療の提供に努めます。
・企業等集団健診、医療相談、糖尿病教室などの保健衛生活動を行い、市民の健康増進に必要な医療を提供します。
(3)医療機能にかかる数値目標
市立大洲病院の役割における医療機能について、平成19年度の実績をもとに次のとおり目標を設定します。但し、常勤医師の専門性の状況等により数値が大幅に変化する状況が想定されるため、適宜見直しを図っていきます。
(4)役割を果たすために必要な取り組み
平成16年に設置し専任職員をおいた地域連携室の機能を継続して、地域医療機関との連携を図り、また、訪問看護の実施や外来化学療法室設置の継続により、当院の専門的分野における地域医療を充実させていきます。そのために必要な専門性を高める職員研修を計画的に実施していきます。
5 経営の効率化
(1)これまでの取り組み
医療環境の変化やニーズに迅速に対応することにより、診療報酬の確保、医業収益の確保を図ってきました。最近の主な施設基準届出・加算等の取り組みは、下記のとおりです。
平成15年10月 再来患者様の予約制導入
平成15年12月 市立大洲病院公式ホームページ開設
平成16年1月 全館禁煙の実施
平成16年4月 地域医療連携室設置
平成16年6月 訪問看護室設置・褥瘡患者管理加算
平成16年7月 病院機能評価<V4.0>受審 (財)日本医療機能評価機構
(医師不足のみにより認定留保)
平成16年10月 管理型臨床研修病院指定
平成17年4月 診療録管理室設置(診療情報管理士配置)
平成17年6月 夜間勤務等看護加算
平成17年7月 麻酔管理料加算
平成17年10月 診療録管理体制加算
平成18年4月 医療安全対策室設置・入院基本料(10:1)
ナースキャップ廃止
平成18年10月 日本医療機能評価認定<Ver.4.0>
〔財 日本医療機能評価機構〕 認定期間 H18.10.16〜H23.10.15
平成19年11月 外来化学療法加算
平成20年1月 入院基本料(7:1)
≪経費節減に関する取り組み≫
毎年度、材料費については、薬品納入価格の適正化の徹底や新規納入物品の納入価格の比較検討を行い経費節減に努めています。
また、新規物品の購入及び建設改良にあたっては、診療材料等検討委員会及び医療器械等購入審査委員会により、必要性、採算性の検討を経てから予算の執行を実施しています。
(2)経営課題
@資本投下の抑制
平成7年の病院建設移転から14年経過し、医療器械及び設備の更新が増加する傾向にあります。平成18年度266百万円、平成19年度189百万円と建設改良費が増加していることから、償却費抑制のため、計画的更新が必要となります。
A入院基本料看護基準7:1による入院単価の維持
医師の減少により、入院、外来患者ともに減少しているため、収入確保として入院基本料7:1施設基準を継続していくことは不可欠です。
B定員管理の合理的運用
外来、入院患者数及び診療報酬における看護基準等制度の動向に合わせ、職員採用を合理的に運用していくことが必要です。
C経費節減と収入確保
毎年度、薬品・診療材料の購入価格抑制のため比較検討を行っていますが、職員一人ひとりのコスト意識をさらに高めて経費削減に取組むことが必要です。さらに、将来的には、原油価格の高騰等の影響による経費(燃料費、光熱水費)上昇に対応できるよう、省エネルギー型の設備投資を検討していく必要があります。
D将来の医師確保
市立大洲病院の医師は愛媛大学医学部から派遣を受けていますが、医師不足は、大学側でも深刻であり、すぐに増員を図ることは困難な状況にあります。また、将来的な医師確保のため、管理型臨床研修病院の指定を受け、研修医の受入れができる体制を整えていますが、過去2年間の受入れ実績が0名となっています。今後も愛媛大学医学部との連携を強化するとともに、医学部学生の臨床選択実習等の受入れを行い、将来的な医師確保を目指した取り組みを実施していく必要があります。
(3)経営効率化にかかる計画
@民間的経営手法の導入
病院の経営状況を確認し、重要施策や経営方針を検討・意思決定するための経営管理会議(構成員:院長、副院長、医局長、事務長、薬局長、看護部長、副看護部長、事務課課長補佐)をこれまで同様に毎月開催し、経営に関する意識の共有化を図っていきます。
また、業務の外部委託については、すでに、清掃、洗濯、寝具管理、ボイラー等の施設管理、医事業務、各種医療機器保守、病理検査の一部など44業務の委託を行っています。今後は、これらの委託業務の内容についても精査するとともに、外部委託により経費の節減・投資の抑制に繋がるものについて適宜検討を進めていきます。
A事業規模・形態の見直し
現在、10診療科体制で、一般病床154床、結核病床26床の180床の事業規模で運営をしています。平成19年9月から医師不在にともない、産婦人科及び小児科が休止となり、入院・外来患者数ともに減少傾向にありますが、当面、現状の体制を維持した経営を行っていきます。なお、今後の地域における医療需要及び医療制度の改正の動向を考慮して、規模・形態の見直しについても対応していきます。
また、結核病床は、現在26床ありますが、稼動病床は8病床となっています。今後、県内の患者数の状況、医療計画の状況を踏まえて、取り扱いを検討していきます。
B経費削減・抑制対策
○材料費・経費の抑制
薬品・診療材料については、複数業者と毎年度の価格交渉及び見積により、購入価格の抑制・適正化を図っていきます。また、新規の診療材料については、診療材料等検討委員会、薬品については、定例の薬事審議会において、購入の検討を行っていきます。さらに、材料及び経費節約について、職員意識の向上を図るため、毎月の院内連絡会での意識啓発、さらにコスト削減に繋がる物品の提案を随時受け入れ、購入物品の更新を行っていきます。
○資本投下の抑制
医療器械等は、新しい技術開発が多く、すべてを受け入れていると設備投資が過大となり、償却費の増額に繋がります。そこで、従来の医療器械の更新を含めて、新規購入については、医療器械等購入審査会(院内組織)において、コスト、償還価格、診療収入を検討し、過大な資本投下とならないように建設改良費及び起債額を抑制します。また、故障などの緊急時を除き、既存医療器械の更新にあたっては、年額投資額が平準化するよう計画的に更新を行います。特に、平成18年度及び19年度に放射線機器の更新により投資額が過大となっていることから、平成20年度〜平成24年度にかけては、5年平均して年額90,000千円程度になるよう計画的投資を行います。
○職員給与費率の維持
医業収益における職員給与費の割合は、過去10年間の平均が42.3%であり、全国平均(平成18年度決算状況調査における類似規模平均55.2%)に比べても低い状況で推移しています。また、大洲市のラスパイレス指数も90.7%(平成19年4月)で極めて低い状況にあります。職員給与費率については、今後数年にかけて定年による退職者がいないことや法定福利費(共済負担金の増加)の影響から上昇傾向となる見込みですが、今後も国、県の制度に準じた見直しを実施していきます。
○定員管理
現在、市立大洲病院では、職員の勤務時間区分を細分化し、日勤、準夜、深夜の3区分に加えて、日勤をさらに5区分(早出、遅出等)にすることで、勤務のピーク時にあわせた人員配置により、人員の増加を抑制しています。今後も、勤務割による人員の効率的配置を継続するとともに、看護基準等の制度の動向に合わせた人員管理を行っていきます。
C収入増加・確保対策
現在まで診療報酬の改定にあわせて収入確保できる対策を随時実施してきていますが、平成20年度には、入院一人当たりの収入単価を増加させるために、入院基本料7:1施設基準の届出をしています。今後この施設基準を維持できるよう努力し収入の確保を図ります。
(4)経営効率化にかかる数値目標
現在まで健全経営を継続していることから、平成20年度以降においても、黒字経営を維持していくことを目標とします。
(5)一般会計負担の考え方
<現状>
現在は、主に建設改良にかかる起債事業、元利償還金にかかる繰出をうけています。
○ 病院建設にかかるもの 元利償還金の2/3
○ 医療器械購入 起債対象医療器械購入にかかる元利償還金
(平成14年度まで2/3、平成15年度以降1/2)
○ 救急医療の確保に関する経費
不採算部分
○ 結核医療の確保に関する経費 → 平成19年度実績
不採算部分 14,948千円
○ 医師等の研修経費の概ね1/2
今後の経費負担についても、総務省通知の「地方公営企業繰出金について」をもとに基準外繰出金のない経営を行っていきます。繰出金の考え方は、現在までと同様で、次のとおりとします。
なお、積算は、地方財政計画における公営企業繰出金の病院事業積算内訳における算出基礎等を参考に実施していきます。
○建設改良費 元利償還金の2/3 (平成14年度まで起債事業)
○建設改良費 元利償還金の1/2 (平成15年度以降の起債事業)
○救急医療の確保に関する経費 (不採算部分の1/2程度)
〔(空床確保による収入減(材料費等経費を除く)+(救急医療に係る医師、看護師、医療技術職員、事務職員等の年間人件費−救急輪番制病院運営費補助金)〕×1/2
○結核医療の確保に関する経費(不採算部分の1/2程度)
※結核医療に係る看護職員等人件費×結核入院患者数×1/2
○医師等の研修に関する経費(医師等の研修旅費、図書費の1/2程度)
<参考>
「平成20年度地方公営企業繰出金について第7病院事業」に記載がある繰出金項目(市立大洲病院に関係するものを抜粋)は次のとおりです。
1.病院の建設改良に要する経費
2.結核病院の運営に要する経費
5.リハビリテーション医療に要する経費
10.救急医療の確保に要する経費
12.高度医療に要する経費
14(2)医師及び看護師等の研究研修に要する経費
(3)病院事業の経営研修に要する経費
(6)病院事業会計に係る共済追加費用の負担に要する経費
第13 3地方公営企業職員に係る児童手当に要する経費
6 経営形態の見直し
現在の市立大洲病院の経営形態は「地方公営企業法の一部適用」となっています。「公立病院改革ガイドライン」では、経営形態の見直しの選択肢として「地方公営企業法の全部適用」「地方独立行政法人化」「指定管理者制度の導入」「民間譲渡」が示されています。
これらの選択肢について、メリット、デメリットを検討した結果、現状では、経営形態見直しにより初期投資や経常経費の増加によりコストの方が過大となることから、平成8年度〜平成19年度まで12年間黒字経営を継続している実績を踏まえ、当面、現在の経営形態の「地方公営企業法の一部適用」の体制により改革プランの実施に取組んでいくことにします。改革プラン実施にあたっては、今までどおり院長を中心に病院の全職員が一丸となって経営意識をもって業務にあたるとともに、これを開設者である大洲市長を中心とする大洲市で支えていくものとします。
なお、今後の経営形態の見直しの方向性として、地方公営企業法の全部適用についても平成24年度まで検討を重ねていくことにします。
<参考>
○地方公営企業法一部適用について
「地域において必要な医療提供体制の確保を図るということですので、現行の一部適用で財政当局の理解もある、人事の理解もある、病院長や事務長のマネジメントも優れている、市長の理解もあるということで何ら問題ないということであるならば、当然現状の経営体制で維持していくという選択肢もある。」(20.1.8 総務省自治財政局 目貫係長説明 自治体病院協議会誌より抜粋)
「一部適用のままの選択肢もあり。改革プランにおける目標取り組みがどうしても達成できないということであれば、その時点で点検評価し、再度検討いただきたい。その地域において一部適用のままがベストであればその形態ありと考えている。法的には問題ない。」
(20.4.24愛媛県の説明会 総務省目貫係長回答)
7 再編ネットワーク化
平成19年度における地域連携室における他の医療機関への紹介が344件、他の医療機関から当院への紹介が150件となっています。また、市内外の病院・診療所からの紹介患者数は、延1,875人となっています。
大洲市の救急医療についても輪番制をとっており、病院の専門性を踏まえた機能分担により病病連携、病診連携を進めてきました。
ガイドラインでは、二次医療圏内の公立病院間の連携を強化し、ネットワーク化の実を上げるためには、これらの公立病院の経営主体を統合し、統一的な経営判断の下、医療資源の適正配分を図ることが望ましいとしています。二次医療圏内の公立病院は、当院のほか、市立八幡浜総合病院、西予市立野村病院、西予市立宇和病院の4病院あります。しかしながら、二次医療圏の範囲が広域であることから、各病院間の距離のみならず、二次医療圏において住民が近隣の病院まで行く距離も大きく、医療資源の適正配置を進め方についても地域医療の崩壊に繋がらないように慎重に検討をすすめる必要があります。
大洲市喜多郡において公立病院は、市立大洲病院のみであることから、公立病院の統廃合はしない方針で、現状の医療機能を維持した経営をしていきます。だだし、第5次愛媛県地域保健医療計画の5事業(救急医療、へき地医療、周産期医療、小児医療、災害医療)についての連携等については、平成21年度から平成24年度にかけて、第5次愛媛県地域保健医療計画や大学からの医師派遣の状況などの医療環境の変化に対応すべく、適宜検討を行うものとします。
また、ネットワーク化については、既に病院・診療所からの紹介や診療科による機能分担がすすんでいることから、引き続き、2次医療圏内の病病連携、病診連携をこれまでどおり進めていき、既存の病院の専門機能を充実させていくことにします。医療環境の変化により新たな再編ネットワーク化についての方針検討を行う場合は、市立大洲病院運営審議会に諮るものとします。
8 改革プランの点検評価
公立病院改革ガイドラインには、公立病院改革プランの点検評価をするにあたり概ね年1回以上有識者や地域住民等の参加を得て設置した委員会等において評価の客観性を確保することを求めています。
従来から大洲市では、市長の諮問に応じて必要な調査審議をするための附属機関として市立大洲病院運営審議会を設置していますので、今回の改革プラン作成にあたってもこの運営審議会に諮っていることから、今後改革プランの実施状況の報告や点検評価についても、同審議会において行うものとします。
また、評価の時期については、年2回、決算及び予算編成時期等にあわせて実施します。
9 資料
年度別収支計画 (別添1)
補償金免除繰上償還に係る公営企業経営健全化計画(別添2)